スイーツな関係
「仮病?」


ムッとした彼の顔もなかなか好みだけれど、今はそれどころじゃない。


「け、仮病じゃないです。けど、行ってほしくなくて……」


痛むけれどお姫様抱っこして運ばれるほどのことでもない捻挫。
勝気ないつもの私は影をひそめ、彼の呆れたような視線に耐えきれなくなり俯いた。

微かに聞こえるため息。


「ひとり暮らしの部屋に男を入れたらどうなるのかわかっているのかい?」
「えっ?」


顔を上げると、彼の顔が間近で驚いた。
次の瞬間、彼の掌が私の後頭部に触れて自分の方へ引き寄せた。

ひんやりした唇が私の唇を塞ぐ。


「んっ……」


軽く啄むように動く唇。
経験が浅い私でも彼のキスが上手く、あっという間に脚の力が入らなくなり、蕩けさせるキスだということはわかる。

もっと……と、ぼんやりする意識で思った時、下唇を軽く吸うようにしてから彼の唇が離れた。

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