スイーツな関係
染み一つないラグに零してしまう前にクリーム色のテーブルの上に置く。


「麗香、すまなかった」
「……あのアパートは誰の? 知り合いに借りたんでしょう?」


生活しているように見えた。食器だって、調理器具だってあった。
だから絶対に偽るために知人に借りた……そう思いたかった。
全てが……丸ごと作り上げられた偽りの空間だったと思いたくなかった。
それは知人から借りるより大がかりなことで、私への疎ましい気持ちの大きさのあらわれだから。


「違う」
「!」


私はそれほど嫌われていた……。


目頭が熱くなるのもわからないうちに、涙が頬を伝わっていた。


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