スイーツな関係
ホテルのラウンジに先についた私は、滑らかな真紅のソファに座り遥人を待っていた。
待ち合わせの時間より少し早く到着。
本日発売で買ってきたファッション雑誌を見るのにちょうどいい。


雑誌をバッグから取り出した時、マナーモードにしてあった携帯電話が振動した。


「遥人」


周りを気にしながら、小さい声で出る。


『麗香、もうホテルに着いてる?』
「ホテルのラウンジに……どうかしたの?」
『テレビ局の仕事が急遽入ってしまったんだ。すまない。終わり次第連絡するよ』


仕事なら仕方ない。
遥人が仕事に全力を注いでいることは誰よりもわかっているつもりだ。


「うん。わかった。終わったら連絡してね。待ってる」


聞き分けの良い子供みたいだ。


『ちゃんと埋め合わせはするから』
「埋め合わせ……?」
『じゃね』


埋め合わせがなんなのか知らされないまま電話は切れてしまった。


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