スイーツな関係
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「今日はさくっとした天ぷらを作ってみましょう。皆さん、天ぷらはお好きですよね。天ぷらをさくっと揚げるにはコツがあります――」


今日は天ぷらだったんだ。終わったら遥人と会うのに、油臭くならないかしら……。


天ぷらの粉を菜箸で混ぜていると、えびの下ごしらえをするように言われる。
そこまでは順調だった。


「森川さん、大分手際が良くなりましたね」


先生にあたりまえなことを褒められ、心の底から喜んだのもつかの間。


「きゃあっ! あつっ!」


油に種を落とすのが怖い私は先にいれた海老の水分が跳ねた途端、驚いて持っていた白身のお魚を高い位置から手を滑らせてしまった。
当然、天ぷら油はその衝撃で跳ね上がり、逃げる間もなく手のひらにかかった。


「大丈夫ですか!?」


隣の男性に声をかけられるけれど、痛くて頷くのが精一杯だ。


先生が慌ててやって来て、火を止めながら私の状態を視認する。


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