スイーツな関係
街路樹のイルミネーションは目に入らないのに、入り口で待っている遥人は数メートル先からでも目に入る。
寒いのだろう。コートの襟を立て佇む姿に胸が高鳴る。


包帯を巻いた右手をキャラメル色のコートのポケットに差し込み、私に気づいた遥人に左手を振る。


「寒い中、待たせてしまってごめんなさい」
「火傷は? 見せて」
「見せてって……たいしたことないから」


遥人の視線がコートのポケットに動くのを見て、首を振る。


「それなら見せてもかまわないだろう?」


こんな時の遥人は絶対に譲らない。


「本当に大したことはないんだからね」


遥人の顔色を見ながら、右手をコートのポケットから出すと、スッと目が細められる。




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