スイーツな関係
「どこが大したことないんだい? それだけ手厚く包帯が巻かれているってことは全治1週間? もしかしたら10日?」
「っ! 先生が大げさに巻いただけだから」


明日も病院へ行かなくてはならないのだけれど、余計に心配をかけそうで言わない。


遥人が首を振りながらため息を吐く。
それから、私の肩から掛けているバッグを取り上げ、持ってくれる。


「いろいろ言いたいことはあるけれど、まずは食事にしよう」


ここから歩いて10分ほどの和食の店に遥人は私を連れて行った。


店の中は4人掛けのテーブルが5つと、座敷の席で狭い。
空いている座敷に案内され、遥人はメニューを私の方に向けて開く。


まず目に飛び込んできたのは「天ぷら盛り合わせ」の文字。


「天ぷら、作っていたんだろう? 食べ損ねたから食べるかい?」


うーっ、絶対にちくちくと私がいかに不器用かを知らしめているに違いない。


< 369 / 512 >

この作品をシェア

pagetop