スイーツな関係
「一緒に住めば俺が料理を教える。嫌なら、俺がずっと作ってあげるよ」


父とお姉さんの事を思い出して、顔を顰めてしまったけれど、その言葉に私はプッと吹き出してしまう。


「遥人、それってプロポーズみたい」
「そうだね。そうかもしれない」


遥人が笑い、目尻に少し皺が作られる。
本当ならふわふわと身体が浮かんでしまうくらい嬉しいはずなのに、お父様と操さんが気になり無邪気に喜べない。


「ずっとお料理してくれるだなんて、遥人は私を甘やかせすぎ」
「俺のところに来てくれる？　狭いなら、もう少し広いマンションを借りてもいい」
「遥人……」


そこへサラダと焼き鳥の盛り合わせが運ばれてきた。
甲斐甲斐しく小皿にサラダを取り分けようと手を伸ばしたところで止まる。


「その手では無理だね。すみません、フォークをお願いします」


遥人は通りすがる店員さんにフォークを頼んでくれた。


< 372 / 512 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop