スイーツな関係

翌日の正午過ぎ、事務所で火傷の痛みもなんのその、気分よくパソコンに向かっていた。
キーボードを打つのは、少し遅くなってしまうけれどそれほど困らない。
だけど、仕事をしなくてはいけないと、頭では思うのに、気持ちはふわふわと浮き立っていて、発注伝票の数字が頭に入って来ない。


昨日、遥人は私の部屋に泊まった。
右手が使えないからバスタイムが不便だろうと。


ビニールで巻かれ、テープでぐるぐる巻きにした右手は不恰好で笑えたけれど、そのバスタイムが甘いひと時に変わり、思い出すと身体の中が疼いてしまう。


キーボードを打っていた手を止め、コーヒーを飲もうと立ち上がる。


パーコレータに落とし済みのコーヒーをカップに注ぎ、立ったまま一口飲むとかなり苦い。


何時間前のコーヒーだっけ？
飲めないこともない。