スイーツな関係
「そ、そんな。いいんです。先日も言った通りお付き合いしている方がいるので……」
「あの時、麗香さんを好きだったのは確かです。優柔不断な男かもしれませんが、素直になった妻が可愛いんです。私に合うのはやはり彼女しかいない。そう悟りました。ですから、これは貴方を混乱させてしまったお詫びです。どうか受け取ってください」


八木社長は箱を開けたプレゼントをスッと私の目の前に滑らせる。


「八木社長……こんなに高いものを……」


クロスの台にサファイアがキレイに埋め込まれている。
小粒ながら高そうなネックレス。普通にプレゼントされて受け取れるものではない。


躊躇っていると……


「プロポーズの時の指輪はこれよりはるかに高いですよ。あれは妻にあげるわけにはいかないので処分しました」
「……わかりました。ありがとうございます。大事に使わせていただきます」
「よかった」

八木社長は心の底からホッとしたようにふんわり笑った。
その笑みに私もつられて笑みを零す。



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