スイーツな関係
「奥様とお幸せになってくださいね」
「ええ。2度目の離婚は避けたいですし、第2の新婚生活みたいで毎日早く帰りたいくらいなんですよ。ですから、麗香さんが食事を断ってくれて良かったと本当は心の中で思ったんです。酷い男でしょう?」

そう話す八木社長は嬉しそうだし、楽しそうで、私の気分も晴れやかにしてくれる。


「じゃあ、早く帰らないと」


私は八木社長を年上ながらも可愛いと思う。


幸せそう。


「ええ。では、これで私は失礼させていただきます」


コーヒーを一口ゴクリと飲むと、八木社長は立ち上がり伝票を持ちテーブルを離れた。


八木社長の後姿を目で追いながら、ぐったりと身をイスに沈める。
そして思わずフッと吐息が口から洩れ、笑ってしまう。


取り越し苦労だったのね。
一件落着だけど……なんか私、振り回された気分……。

さっき飲んだ事務所のコーヒーよりはるかに美味しいコーヒーを飲む。
晴れた気分だからなおさらコーヒーが美味しく感じられた。


八木社長に断らなければと思っていたから落ちつかなかったけれど、今はすっきりしている。あとはお父様だけ。

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