スイーツな関係
落ちついた和風の門前の駐車スペースに遥人は車を停めた。


遥人が助手席のドアを開けて傘をさしてくれた時、黒塗りのベンツが停まり、先に下りた運転手が後部座席のドアが開けると、父が姿を見せた。


「おお、ちょうど来た所か」


すぐに私達を見つけて近づいてきた。


「ええ。まさか伯母様のお店だとは思っていなかったわ」
「突然の呼び出しだからな。自分のテリトリーで話を聞いた方がいいと思ってな」


父はこれから話す事を悟っているみたい。
おそらく結婚話……と思っているはずだから、同棲と聞いてどう思うだろうか。


「今日はお忙しい中、恐れ入ります」
「谷本君、堅苦しい挨拶は抜きにしよう」


そこへ和傘をさした着物姿の伯母がそろり現れた。


「まあ、こんな所でお話だなんて。さあさ、中へお入りになって下さいな」


伯母は父の姉で、この高級料亭の女将さん。


いつもの部屋に通される。
和のインテリアながら、テーブル仕様の部屋はこの料亭に1部屋しかない。
父がイスを好み、テーブル席の部屋を作ってもらったのだと聞いている。


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