スイーツな関係
「乾杯だ」
「えっ?」


遥人より私の方が目を見張る。


「同棲を許可しよう。実は私の財産目当てで男が寄ってくるのではないかと心配していたからな。君のような男が側にいてくれれば安心だ」
「ありがとうございます!」


遥人は頭を深く下げると、おちょこを持って父のおちょこに軽く合わせ透明な辛口のお酒を口に運ぶ。


「お父様、ありがとう。きっとわかってくれると思っていたわ」
「まったく……お前が幸せそうだから反対も出来ないな」


少し寂しそうに笑う父。


「お父様……」


1人暮らしが寂しいのかしら……。
バリバリ仕事をこなし、アフターファイブも充実している父だけど、母と別れてから3年経つ……。
もし父に好きな人が出来て、一緒になりたいと言ったら真っ先に祝福してあげよう。素直にそう思える瞬間だった。


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