スイーツな関係
「えっ、な、なんでもない。ちょっと思い出したことがあって。遥人、お酒ばかりじゃなくて食べてね。このフグ刺し、絶品よ」


私は遥人の小皿に取り分けた。


「ありがとう」


ほんの少し顔を赤くした遥人は私に向かってにっこり笑った。


少しして遥人が中座すると、私は眉を寄せながら父を見る。


「お父様、遥人は酒乱じゃないからお酒を勧めるのはやめてよね」
「お! 分かっていたのか?」
「ええ。いくらなんでもこれ以上は仕事に差し支えるわ。伯母様、もうお酒は出さないでくださいね」
「遥人さん、本当にお強いのね。たくさん飲まれているのに、ほとんど変わらないわ」


のんびりとした口調で微笑む伯母。


「彼を放しちゃだめよ」


皺のある顔を茶目っ気たっぷりにほころばせる。
私はもちろんと、笑みを浮かべた。

< 400 / 512 >

この作品をシェア

pagetop