スイーツな関係
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数日後、遥人は両方の店から近い表参道の賃貸マンションを契約した。
築20年の古い建物だけど、外観、内装ともにそんなに経っているとは思えないほどきれいだ。
3LDKで広さもふたりでは十分すぎるくらい。


マンションを出て不動産屋の男性と別れると、遥人が袖口を捲って腕時計を見た。


「もう昼か。何が食べたい?」
「なんでもいいけど、あ! あそこに入らない?」


私が指さしたのは中華ののれんが掛かっている小さなお店。


「ラーメンか。意外だな」
「どうして? ラーメンは大好きよ。それに節約しなきゃ」


私の節約の言葉に遥人が目を見開く。


「節約? 今まで通りで問題ないんだよ」
「遥人。ほんの少しでも努力したいの」
「麗香……」
「寒いから早く入ろうよ」


遥人の腕に腕を絡めると、ラーメン店に向って強引に引っ張る。


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