スイーツな関係
「私だけが気づいていなかったのね……」


いつの間にふたりは……。
私も仕事と遥人以外は関心なかったから全く分からなかった。
これでは経営者として失格だわ。
瞳ちゃんが気づくなら、私でもわかったはずなのに……。


「なんか落ち込んでいますか?」
「えっ? いいえ。そんなことないわ。じゃあ、発注済ませるからフロアに戻っていいわ」


瞳ちゃんが出ていくと、再びドアが開いた。
ドアに向かって背を向けていた私は次の瞬間、呼ぶ声に驚いた。


「麗香ちゃん!」
「お母様!」


弟の留学に付き添い海外に行っていた母が立っている。


「お帰りなさいって言ってくれないの?」


キレイに化粧が施された顔をにっこりさせて言う母に、私はあ然と口を開いたままだ。


< 436 / 512 >

この作品をシェア

pagetop