スイーツな関係
「ひどい顔をしているわよ」
「知ってる。……入って」


亜希は身体をずらして私を部屋の中へ入れた。


「いつ帰って来たの?」
「昨日だったかな……」
「『だったかな』って、何を言っているのよ、いったいどうしたの? すごくやつれているじゃない」
「ん……」


シングルベッドと小さな丸テーブルにイスが1脚の狭い部屋だった。
ベッドに疲れたように腰掛けた亜希の隣へ座る。


「何があったのか話せる? 向こうから何も連絡がないから、幸せに暮らしているばかり思っていたわ」


膝の上に組み合わせた亜希の手が微かに震えているのを見て、そっと手を重ねる。
その手はとても冷たかった。


何をそんなにショックを受けているの?


そう聞こうとした時、亜希が口を開いた。


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