スイーツな関係
「お腹が痛くて……」


これって陣痛? まだあと1ヶ月あるのに……。


ぎゅうーっと腹部を襲う痛みに、顔が歪む。


遥人はすぐにベッドから降りると、着替える。


「陣痛かもしれない。病院へ行こう」
「陣痛って、まだ――」
「もし陣痛だったら、痛みが引くはずだから」


遥人は私の春コートを持って来て、パジャマの上に羽織らせる。


少しして痛みが止まった。


「遥人……やっぱり陣痛みたい。痛みが引いたの」
「今のうちに病院へ行こう」


入院用のボストンバッグを持ち、遥人は私を支えながら駐車場へ向かった。
後部座席に私を座らせると、運転席に回りエンジンをかける。


「痛みが来たら、呼吸法だよ。母親学級で習っただろう?」
「う……ん……」


まだ早いのに……これからあなたは生まれてくるの?


まだ早い陣痛に私は不安だった。


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