君の為に放つボール

蓮也は、静かに話しだした。

「オレも、中学んときはバスケやっててん。すんごいえぇ仲間もおってな。大きな大会で優勝したこともあった。でも、夏の大会直前にオレが倒れて入院してもうたから、あいつらにはようけ心配かけたわ・・・。」

「蓮也はもう、バスケしないの?」

やっと涙が止まりかけたあたしが聞くと、蓮也は笑いながら言った。

「今は、それぞれの高校で仲間がバスケ頑張っとんのを応援しとんねん。でも、オレもいつでもコートに戻れるように準備してんねんで。」

「そっか・・・。さっき、ごめん。」

「もう気にすんな。ほな、オレ戻るわ。」


蓮也はどうしてあんなにいつも明るいんだろう。

ひらひらと手を振って病棟に戻っていく蓮也の後ろ姿の見つめながら思った。




もしかしたら、この日から


蓮也に惹かれていたのかもしれない。

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