君の為に放つボール
目を覚ましたのは、大学病院の中。
若い男の先生があたしのベッドの横に腰かけた。
「右足の骨折と靭帯の損傷、それに左膝から下の切断・・・残念ながら、もうバスケットボールはできません。」
ちょっと待ってよ・・・
なんであたしの左足ないの?
勝手に切らないでよ!!
これはあたしの足でしょ!?
もうバスケはできないって・・・
「冗談、言わないで下さいよ・・・。」
自分の口から出た声は、情けないほど震えてた。
「普段の生活に故障が出ない程度には回復するように、我々も努力します。凛さんも、リハビリを頑張りましょう。」
やけに落ち着いて話す医者にイライラした。
っていうか、頑張ったってもうバスケできないんでしょ?
あたしなんのためにここまで頑張ってきたの?
インターハイ出場の夢はどうなるの?
返してよ・・・
あたしの未来を、奪わないで・・・