君の為に放つボール

目を覚ましたのは、大学病院の中。




若い男の先生があたしのベッドの横に腰かけた。

「右足の骨折と靭帯の損傷、それに左膝から下の切断・・・残念ながら、もうバスケットボールはできません。」



ちょっと待ってよ・・・

なんであたしの左足ないの?

勝手に切らないでよ!!

これはあたしの足でしょ!?

もうバスケはできないって・・・

「冗談、言わないで下さいよ・・・。」

自分の口から出た声は、情けないほど震えてた。

「普段の生活に故障が出ない程度には回復するように、我々も努力します。凛さんも、リハビリを頑張りましょう。」

やけに落ち着いて話す医者にイライラした。

っていうか、頑張ったってもうバスケできないんでしょ?

あたしなんのためにここまで頑張ってきたの?


インターハイ出場の夢はどうなるの?


返してよ・・・

あたしの未来を、奪わないで・・・





< 4 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop