君の為に放つボール

この頃のあたしは、なにもかも悪い方に考えてばかりだった。

「どうせあたしは。」

蓮也と喋ってるとき、最初あたしはこんな言葉ばかり言ってたね。

あの言葉で、どんなに蓮也を傷つけたか・・・



「どうせあたしは、このまま生きててもバスケできないんだ。・・・もう、死んじゃおっかな・・・。」


リハビリしても成果があがらず、ごはんもろくに食べてなかったあたし。

もう半分自棄になってた。


パンッ・・・


乾いた音がしたのと同時に、右頬に痛みが走った。



「お前、生きとるだけで幸せやないんか!!」



上から聞こえる蓮也の怒鳴り声。

恐る恐る見上げると、今まで見た事ないような冷たい瞳で、蓮也はあたしを見降ろしていた。

「もう二度と死ぬとか言うなや。生きたくても生きられん奴かておんねん。」

怒りで震えた蓮也の声が、あたしの感情を爆発させた。

「あたしだって・・・あたしだって本当は生きたいよ!でも、バスケができなくなって、あたしどうしたらいいか分かんないの!リハビリしても立てないし歩けないし!これからどうやって、何に希望持って生きてけばいいのか分かんないの!!」

一気に涙が溢れる。

あたしの涙を見て、蓮也は少し困った表情をしたね。

「ごめん、殴ったのはやりすぎた。凛を泣かせたかった訳やないねん・・・。」

そう言って、頭をなでてくれた。
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