好きなんて言ってあげない。
眉間をググッと寄せて更に不機嫌そうにすると、愛香はあたしの視線をたどった。
その先には何人かの男女。
『五十嵐?』
あたしはその言葉にピクリと反応して、もっと眉間のシワを深くした。
『あいかわらずモテモテですねー。女好きめ』
あたしは愛香にもバレないくらい小さな溜め息をついた。
“女好き”
愛香の口から出たその単語は彼の代名詞ともいえる。
それだけ彼はいつも女の子と一緒にいる。
それなのに特定の彼女を作ったり、放課後や休日に女子と2人きりで遊ぶこともない。
変な人。てか変態。