好きなんて言ってあげない。




ふふっと愛香の楽しそうな笑い声が聞こえた。




あからさまにあたしのことを睨んでいる女の子達を見ると席に戻りたくなる。




だけど新に呼んでもらって、嬉しくない訳がなかった。





新は、本当に綺麗な顔をしている。




きめ細かすぎる肌に、形のよい唇。




鼻筋が通っていて、二重の瞳はタレ目がちでなんだか色気がある。




顔のパーツがひとつひとつ整っているんだ。




しかも長身で細身なのに、男の子っぽくしっかりした体つき。




そして中世的で絵画から抜け出たような姿は浮き世離れしているのに、気さくな性格。




周りに合わせるのが上手だから、人間関係は円滑らしい。




なにもかもが完璧な彼は、校内で一番の人気者。




必然的に女の子にはモテモテだ。





無意識に四度目の溜め息を漏らしそうになった時、いつの間にかあたしはドアの前に立っていた。





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