好きなんて言ってあげない。
パッと顔を上げると新があたしをのぞき込んでいた。
心臓が一度悲鳴をあげたのがわかった。
「な、に…!」
『ボーッとしてるから』
意地悪く笑った新に、また鼓動がはやくなる。
そんなことはなるべく表情に出さないようにして、他の人達を見た。
女の子が三人と新以外の男の子が二人。
皆他のクラスの人らしい。
『ねえ、五十嵐くん。この子がシュナ?』
いきなり自分の名前が出てきて少し驚く。
とゆうより新にそう聞いた女の子の化粧の濃さに驚いた。
『ああ、そーそー』
動物園のパンダを見るような目で彼女を見つめていると、新がヘラヘラと答えた。
『ふーん…』
「梶原珠奈〈カジワラシュナ〉ですけど…」
なるべく控えめに自己紹介して頭を下げた。
なんであたしこの人達によろしくなんて言ってるんだろう。
一番女の子らしい化粧と格好をした子があたしをずっと見てる。てゆうか睨んでいる。怖い。
なんとなく、睨まれてる理由はわかるけれど。