結婚3年目の夢の実現と現実(改)
一度だけの交わり
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彼が新婚旅行へ行くという話を噂で聞いた。場所はオーストラリアらしい。
だがそれは当然のことで、盛り上がるような噂でもない。
ただ、確実に自分と彼の距離が離れて行っている、ということは感じた。
既に既婚者の私と、新たに結婚をしようという彼。お互い、どこにも惹かれるような要因は見つからない。
「かんぱーい」
本日居酒屋で行われる会はただの送別会であったが、もしこれが、彼の結婚祝いであったならば、私は素直に祝えただろうか。
もう、結婚まで後2か月というところになって、まだそんなことを考えている自分に嫌気がさしたせいで、今日は少し飲んで帰ることにした。
普段からあまり飲まない方なので、今日も飲むつもりはなかったが、独身の彼と一緒に飲めるのはこれが最後かもしれないと思うと、飲んでいたかった。
十数人の参加者の中で、彼との席は対角線といっていいくらい、離れていたことが更にそうさせたのかもしれない。
周囲も年配の男性が揃い、瓶ビールを注いだり、皿を片付けたり、注文をとったり、用はいくらでもあり、自分の食事が進まないほどであったことも、理由のタネかもしれなかった。
そんな中で、午後9時半を過ぎた頃、
「まだ帰らないのか?」
と、出張先から直帰した夫から電話があった。子供は自分の母親に預けてあったため心配はなかったが、催促されると、だらだら居続けるのも悪い気がして、結局
「すみません、途中ですが、帰ります」
と、言わざるを得なくなった。
彼が新婚旅行へ行くという話を噂で聞いた。場所はオーストラリアらしい。
だがそれは当然のことで、盛り上がるような噂でもない。
ただ、確実に自分と彼の距離が離れて行っている、ということは感じた。
既に既婚者の私と、新たに結婚をしようという彼。お互い、どこにも惹かれるような要因は見つからない。
「かんぱーい」
本日居酒屋で行われる会はただの送別会であったが、もしこれが、彼の結婚祝いであったならば、私は素直に祝えただろうか。
もう、結婚まで後2か月というところになって、まだそんなことを考えている自分に嫌気がさしたせいで、今日は少し飲んで帰ることにした。
普段からあまり飲まない方なので、今日も飲むつもりはなかったが、独身の彼と一緒に飲めるのはこれが最後かもしれないと思うと、飲んでいたかった。
十数人の参加者の中で、彼との席は対角線といっていいくらい、離れていたことが更にそうさせたのかもしれない。
周囲も年配の男性が揃い、瓶ビールを注いだり、皿を片付けたり、注文をとったり、用はいくらでもあり、自分の食事が進まないほどであったことも、理由のタネかもしれなかった。
そんな中で、午後9時半を過ぎた頃、
「まだ帰らないのか?」
と、出張先から直帰した夫から電話があった。子供は自分の母親に預けてあったため心配はなかったが、催促されると、だらだら居続けるのも悪い気がして、結局
「すみません、途中ですが、帰ります」
と、言わざるを得なくなった。