結婚3年目の夢の実現と現実(改)
 仕掛けたのはこちらなので、せめて相手を庇うつもりで言った。

「……ですね……」

 ほら、相手も否定しない。

 アルコールが入っているとはいえ、遊びの範囲を超えてしまったかな、と反省しながらも足はどんどん前に進み、もう改札口まで来ていた。

「じゃあね。ありがと、送ってくれて」

 明日も仕事だ。普通の顔をして別れておかなければ、と思う。
 
 何でもない、会社の先輩と後輩に戻っておかなければ、と思う。

「……もう、やめませんか? 冗談」

 笑顔で挨拶をしたつもりなのに、彼の顔が本気だったので、何か勘に触っていんだなと気付き、咄嗟に謝った。

「ご、ごめんね。ちょっと言い過ぎた、かも……」

 だが、遅かった。

 彼の背がこんなにも高かったことを、この時初めて知る。

「僕は冗談にはとりませんよ」
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