結婚3年目の夢の実現と現実(改)
 目の前にネクタイが近づいてきたなと思った途端、人目もはばからず、ふわりと背中を引き寄せられた。

 アルコールと、整髪料の、匂いがする。

「セーブしてる気持ち、バレてましたか?」

 彼が何か問いかけている。

 そのことに気付いてはいたが、返事が全くできなかった。

「結婚なんか、ほんとはどうだっていい」

 腕に力を込められて、窮屈になる。

「そんなわけにいかないのは分かってるけど、今はほんとにどうだっていい」

 あまりにも真剣な声でそう言い切られた途端。

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