東京駅から地元岩手の盛岡駅まで、新幹線の<はやて>で二時間半弱だ。

 
 俺も知っていた。


 大抵この男は動き出す時、隠密で動くと。


 長年ずっとそうだった。


 仕え続けてきているからこそ分かる。


 ハンドルを握り続けた。


 これから岩原が向かう岩手までは遠いだろうなと思いながら……。


 この男は何かあるたびに地元へと帰ったり、都内の病院に検査入院したりする。


 俺も知っていた。


 岩原が疑惑を説明するのに用意周到にやるということを、だ。


 舞台装置を用意し、そこから発信するということである。


 気掛かりだった。


 そこで何が行われるのかということを、だ。
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