そういった子分たちを援助して回るのが、この男の仕事だ。


 俺も知っていた。


 金など泡のように持っていることを。


 いつも都内の豪邸で暮らしながら、何かあればすぐに俺や秘書の蔵橋、中川などを呼びつけていた。


 金さえ積めば、何でも出来ると思っているようだ。


 俺も表面上は大人しくしていた。


 だが、心の内では冷ややかに見ている。


 新党など結成して永田町で生き残れるとでも思ったら大間違いだ。


 政治の世界は実に複雑である。


 俺もそう思っていた。
 

 その複雑な場所で、これから岩原は自身の政治生命を賭けて、次の衆院選に臨むだろう。


 もし新党自体が選挙に負ければ、次に打つ手はない。
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