選で惨敗して退陣する。その後は総理をたらい回しにするだろう。そして任期満了まで行かずに解散総選挙がある」


「失礼かもしれませんが、先生は次の選挙に出馬なさるのですか?」


「ああ、出るつもりだよ。……それがどうかしたのかい?」


「いえ。単に私の個人的な気持ちで」


「君も仕事の上司が職を失ったら、どうしようもないだろ?」


「ええ、まあ……」

 
 わざと曖昧にしておく。


 俺もずっと岩原に仕え続けるかどうか、分からないからである。


 それに衆議院の勢力図が一変したことで、当惑していた。


 政権を奪還した社自党が、もう一度大鉈を振るうことになる。


 新民党も、他の中小政党も、野党となるのだ。


 この三年間、新民党政権と言ってきたのが、社自党政権になるのである。
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