冬の真っ只中であるからかもしれない。


 俺も独身で、恋人はいなかった。


 ずっと一人で生きてきている。


 別に生活に変化はない。


 それに俺もこの年まで一人でいて、気楽だった。


 学生時代を経て、社会人になってからも、目の前にあることを必死でやってきたのである。


 だから、恋愛などをする時間がなかった。


 まあ、それも自分の人生だと思えれば、済む話なのだが……。


 今度は藤井が俺の主となる。


 単に車に乗せる人間が変わるだけで、業務自体、淡々としているのだった。


 履歴書をメールで送ってから二日後に、国会内の藤井事務所へと向かう。


 もちろん、岩原を乗せていた車に乗って、だ。
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