普通なら、何か新たな策を考え付くはずだ。


 だが、拘留されている以上、どうしようもない。


 それに岩原も年齢が年齢だった。


 七十を超える人間が、簡単に変われるわけがない。


 俺もそう思っていたのである。


 これからは藤井の運転を担当することになったから、それでいい。


 別に気にしていなかった。


 岩原は旧主だ。


 もう関係ないと言えば、それまでになる。


 そして俺も気に留めるつもりはなかった。


 確かに藤井も頭が古い人間ではあったのだが……。


 もちろん、主の前でそんなことは言えない。


 失職していた俺を雇ってくれたからである。
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