まあ、俺の方は逃げる準備をしていたのだが……。


 昔の武士がする出奔というやつである。


 能のない主に付いていくのは御免という意思表示だ。


 俺も自宅に戻れば、食事の準備をして食べ、それから入浴して快適に過ごせるようにする。


 夜間の睡眠時間が少ないのは仕方なかったのだが、慣れればそれでもよかった。


 自宅ではスマホを充電器に差し込み、パソコンの方を開く。


 OSは古いのだが、使い勝手がいい。


 俺も慣れたマシーンでネットをしたり、文書を作ったりしていた。


 単純作業に近いのだが、政治家に仕える人間としてやるべきことと思う。


 夜の遅い時間帯でも、ずっとキーを叩く。


 淡々としていた。


 別にこれと言って変化はなく。
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