昔から、大きなことを成し遂げる政治家は大勢いた。


 安保問題や消費税の創設など、時代の随所でいろんな政治家が活躍した事実があるのだ。


 俺もそういったことは、いくらでも知っている。


 政治家に仕える身として。


 藤井の秘書の石松も頭の悪い男だったし、俺もあのアホ面を見て、その人間の出来の低さが分かるような気がした。


 要は藤井も人材という点で、器量の大きな人間を抱えきれないのである。


 よくその人間の器は表情に出るという。


 俺も分かる気がした。


 ハンドルを握りながら、ずっとそう思っていたのである。


 別に俺一人が何と言おうが、問題が解決するわけじゃなかったのだが……。


 確かに藤井も政治家としてはしっかりやっている方だ。


 ただ、部下がいい加減なので、狂いが生じている。
< 289 / 328 >

この作品をシェア

pagetop