「君が仮に秘書などとして厚遇されたとしても、別に何も変わらないぞ。言い方は悪いが、あのお方は罪人なのだからな」


「ですが、私は岩原先生に何かしら魅力を感じます。日本を救える最終兵器と言いますか……」


「それは君の幻想だ。あの人はもう政界でも何の役にも立たない方なんだ」


「そうでしょうか……少なくとも福原総理よりはマシだと思いますが」


「福原総理はちゃんとやってらっしゃるじゃないか。総理として」


「はっきり申し上げますが、あの方は器が小さいです。とても長く総理をやれる方じゃありません」


「まあ、確かに君の指摘通りかもしれない。世襲だしな。ずっと政治家一家で来てる方だし」


 藤井も軽く息をつく。


 岩原も紛れもなく世襲議員なのだが、叩き上げのような側面がある。


 俺もずっと気にしていた。


 どちらに付けばいいのかを。
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