そして切れのある演説をしていた。


 <昔取った杵柄>という言葉通り、演説部で訓練した人間は違う。


 スピーチとはまるで違い、本格的な演説をする。


 その意味では今から鶴岡を説得に行くときも、しっかりとしたことを言うつもりなのだろう。


 だが互いに長年政界にいるにしても、岩原と鶴岡はまるでタイプが異なる。


 岩原の政策や、党を作った際の運営方針などを鶴岡は受け入れられないと思う。


 それに同じ新民党にいても、岩原と鶴岡は政策面で180度違っていた。


 俺もずっとお抱え運転手をしながら、政治家の裏を見続けている。


 もちろん岩原がスマホで他の議員たちと話をしたりする声は聞こえるのだし、絶えずメールのやり取りなどもしているのは知っていた。


 いくら切れ者で通っていても、どうしても金が絡んでしまう。


 離党は単なるパフォーマンスだろうと思われる。


 本来なら一人でも多くの自分のグループの議員と共に、社自党の藤井と組みたいのだろ
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