俺も川浪が取り組んで、断行した増税は致し方ないと思っていたのだ。


 実際、現時点での国会は与野党とも論戦が低調だった。


 増税に関する法案が衆参両院で可決・成立したことで、与党も野党も一安心しているのである。


 俺も岩原がなぜ新党結成に拘るのか理解できなかった。


 今のタイミングで新党を作っても意味がないのである。


 おそらく党内にいる自分のグループと、藤井が率いる社自党藤井派の合流で完全に党を出てしまい、潜在的に与野党内にいる不満分子たちを掻き集めたいのだろう。


 首長連合とも手を組む可能性がある。


 俺もある意味、岩原のやり方が危ないと思っていた。


 安定しないのである。


 仮に岩原と藤井が作る新党が党に不満を持つ人間たちの受け皿になったとしても、多くは来ないだろう。


 自滅行為だからだ。
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