確かに連日の報道で心労が祟るのだろう。


 若干疲れているように思えた。


 乗り込むと、すぐに訊く。


「先生」


「何だ?」


「これから永田町ですか?」


「ああ。車出してくれ」


「分かりました」


 頷き、ゆっくりとアクセルを踏み込む。


 車は東京都を横断する形で、永田町へと向かった。


 互いに無言でいる。


 岩原はずっとパソコンのキーを叩きながら、同志の議員たちにメールを送っていた。


 永田町内の議員会館の一室に集合するように、だろう。
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