確かに岩原は新党結成のため、子飼いの議員たちだけでなく、社自党藤井派の人間も掻き集めていた。


 戦力になる人間なら誰でも歓迎するのだろう。


 だが、それがこの男のネックだった。


 闇将軍と呼ばれ、権力を振りかざす男だ。


 俺もこの人間がそういったことを仕出かしながら、政治生命を温存してきたことが分かる。


 別に割り切れば済む話なのだった。


 とやかく言わずとも。


 それに俺自身、今の状況を冷静に受け止めている。


 政治家のお抱え運転手は、いろんなことを知ってしまうということを、だ。


 さすがに命まで狙われることはなかったのだが、政治という闇の世界にいると、何もかもが手に取るように分かる。


 そして身辺ではいろんな人や物が動いているのだった。
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