闇将軍は権謀術数に長けているのだった。


 何かもを金で解決するという手段で。


 そして車を運転し、品川にある東奥銀行本店前に横付けする。


 岩原が銀行内に入っていき、金の額面が書かれた小切手を発行する手筈を取るようだ。


 呆れていた。


 どこまで金を使えば、気が済むのだろうかと。


 それにそうやって作った新党が政界において、何ら意味を成さないということもあるのだし……。


 ものの二十分ほどで、発行手続きを終えた岩原が戻ってきた。


 そして口を開く。


「すまんが、もう一度永田町に戻ってくれ。今から同志たちと会う」


「分かりました」


 頷き、車を出す。
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