この男が国民の生活などを見るような目線じゃないくせに、そういったことを党名にするとは。


 俺も腹の中で笑っていた。


 チャンチャラおかしいなと。


 自分の身辺の事情さえきちんと説明できない人間が、何でそんなことを言い出すのか……?


 だが新党結党後も、しばらくの間、運転手役は俺だろう。


 蔵橋から命令されている以上、運転手を務めるのは俺だ。


 そして俺と岩原は共にする時間が長い。


 秘書や同志の国会議員たちよりも、返って長いと思える。


 やがて車は永田町に着いた。


 正面から入っていくと、早速各紙の番記者やテレビ局の報道員などが待ち構えている。


 皆ICレコーダーを持っていた。


 証言を録るためだ。
< 92 / 328 >

この作品をシェア

pagetop