会見が終わり、岩原が車へと戻ってくる。


 マスコミに囲まれながら、だ。


 多数の人間たちがここ永田町では動いている。


 十月半ばで冬が近い。


 こんな時期に衆院解散などないだろうと、誰もが踏んでいたのだし、実際ありえない。


 それにこの岩原と藤井の作る新党は、政策を遂行できたら解党する時限政党だという。


 そんなことを周囲にも漏らしているらしい。


 年齢も七十ほどの老兵が思いつくことなどその程度だ。


 単なる政治ゲームである。


 国民が共感するわけがない。


 それに俺も思っていた。


 仮にこの時限政党が内部分裂して空中分解すれば、その先、若手や中堅などで誰が残るのかと。
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