つまり代表に納まる岩原本人が、そこら辺りの事情などを全く考え付いてないのである。


 これではバラバラになることが見えているじゃないか。


 新党が往々にして発展しないのが日本の政界の実情である。 


「堀原」


 後部座席から岩原の声がした。


「はい」


「今から銀座の屋島に向かってくれ。藤井君が料理頼んでくれてるみたいだから、会食する」


「分かりました」


 エンジンを掛け、アクセルを踏み込む。


 会見場で得意になっていた岩原も、普段はまるで別の顔になる。


 俺もそんなことを感じ取っているのだった。


 岩原の愛人の光岡は、日本の政治が一つ動くターニングポイントで、重要な物を持っている。
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