あなたは私を愛してる。
そして、夏希のことばかり考えていたせいか、仕事が遅れてしまい、残業になってしまった。
「…浮かれすぎだよなあ」
誰もいない狭いオフィスでぽつり、と呟いた。
はずだった。
「何に浮かれてるんですか?」
いきなり後ろから話し掛けられて、肩が大きく跳ねた。
「ごめんなさい、驚かすつもりは無かったんですけど…。」
そう言って、俺に珈琲をくれたのは、今日しらけた顔で話し掛けてきた後輩だった。
「ちょっとビックリしただけだから。…珈琲ありがとう。」
なんか恥ずかしくなったが、平然を装った。
「なんか、今日にやけてたんで、何かいいことでもあったのかなって思ったんですよねー。」
女は言いながら平然と俺の隣に座ってきた。
…なんか図々しいな。
「…まあね」
俺はそれだけ言ってパソコンに目を移した。