あなたは私を愛してる。

岡峰陵汰/オカミネリョウタ


あれから夏希は毎日左手の薬指に銀色の指輪をはめているようだった。

イタリア語で"大切な人"と彫ってあることはアイツの事だから絶対に気づいてないだろう。
教えるのも恥ずかしいからそっちの方が俺にとっては好都合だ。

「岡峰さん、何にやけてるんですか」

仕事中なのを忘れて夏希の事ばっかり考えてしまうものだから、つい顔に出てしまったらしい。
後輩の女にしらけた表情で見られてしまった。

「俺の考えてる事が知りたいのか?」

俺がそうきくと、何故か女は急に顔を赤らめたかと思うと、「興味ありません」と言ってそそくさと去っていった。

俺の職場は小さな企業を経営している会社で、俺の月収は27万円。
今は1人暮らしだからコツコツ貯金してるけど、夏希を養うためにはもっと金持ちにならなきゃいけない。

そんな感じで俺の頭の中は夏希でいっぱいなわけだ。

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