そばにいたい。
ーーーガチャ…
「なに?」
俺は大人びている。
自分でもそう感じていた。
リビングに入ると、今日は土曜日で仕事のはずの父親もいた。
「悠真、ごめんね、これから出かけなくちゃならないの」
なんだ、いつものことじゃないか。
俺の親は何かでかい会社を経営しているらしい。
いつも仕事で忙しい父親と、
その父親が大好きな母親はあまり家にいなかつた。
父親の仕事について行ったりしているのだ。
だけど、そんな親に不満を持ってはいない。
それに、いつまでもラブラブな親たちに少し憧れてもいた。
「わかった。いつ頃帰るの?」
「今日はそんなに遅くならないわよ」
俺の問いかけにどこか嬉しそうに答えた母親。
「ごめんな、拓真たのむな。」
一方で少し困りげに笑いながら俺の頭をポンポンとした父親。
こくんと頷き、見送るために玄関へと向かう