そばにいたい。





にーちゃんがひとりで部屋に上がったあと、俺はテレビを見ていた。


だけど、内容は全然頭に入っていなくて、かーちゃん早く帰ってこないかなーとか、ずっと考えていた。



ーーーバタンッ
ーーー…。




「あ!かえってきた!」


車の音と人の声がきこえて、いそいで玄関に走る。


しばらくするとにーちゃんもおりてきて、俺の隣にたった。




ーーーカチャ…


「ただいま」「ただいま」「…」




おかえり!そういおうとおもったんだ。

だけど、言葉が続かなかった。



そんな俺をちらりとみたにーちゃん


「…おかえり」







「…だれ、そいつ」



やっと出たのは自分の戸惑いをなくそうとしたそんな言葉だった。



「拓真、そいつなんて言葉使うなよ」

「そうよ、拓真。玲菜が可愛そうでしょ?」


ねー、玲菜

語尾に音符がつきそうなくらいのハイテンションで俺がそいつと呼んだ少女に話しかける。


れいな…?

だれだよ。



なんで俺が怒られんだよ。
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