そばにいたい。





玲菜も、朝ごはんを食べ終え、学校の準備をして家をでる。




校門をくぐると、まだなれない学校の児童たちがこそこそと噂をする。





「あ!あの子でしょ!拓真くんのお家によーしにきた子」

「あ!ほんとだ!…でも、よーしってなんなの?」

「えっとね、ほんとうのママやパパに捨てられた子を引き取って育ててあげるんだってママがいってたよ」

「でも、ほんとうの家族じゃないんでしょう?」

「うん、そうだよ!」





いやでも聞こえてくる噂。



ほんとに理解してるのかと疑いたくなるような間違い。



養子は捨てられた子だけじゃない。

…少数だけど違う理由の子もいる。


そう思いながらくつばこにむかう玲菜





パカッとあけると、そこには靴はなかった。


「はぁ」



思わずため息をついてしまうような小さないじめ。



勇気がないならやめればいいのに。



そうおもって周囲を見渡すと使われていないくつばこにはいっていた




「することが中途半端なんだよね」



そうつぶやいて何事もなかったかのように教室へむかう。



玲菜は冷めていた。

感情が欠落していた。



泣かず、笑うのは上辺だけ。

それも、学校では一言も話さなかった。


そんな玲菜を最初は物珍しげに見ていた児童たちも次第に気味が悪いというようになっていた。
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