そばにいたい。



いや、開けなかった。


きほどまであった教科書はどこかに隠されたのか、机の中にも、ランドセルの中にもなかった。




「せんせー!玲菜ちゃん教科書ないってー!」




わざとらしく、誰かがいった。



それまで無視していた担任は、無視出来なくなったのだろうか。

「忘れものですか?」

と聞いた。



「…」



玲菜は答えなかった。
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