そばにいたい。





―――――ピピッ



はさんだまま、診察の準備を進める医者の手をぼーっと見ていると体温計の音が静かな病室に響いた。



"新しい母親"は看護師に促されて病室をでていった。


診察の準備が終わったのか、こちらを向いた医者。

「よし、玲菜ちゃん、体温計もらえる?」


差し出された綺麗な手に無言で体温計をのせた。



「どれどれ、うーん、37.8か~、しんどくない?」


「だい、じょうぶ、です」


実際、熱があることも気づかなかったくらいだ。

…もう、なれてしまった。
< 193 / 232 >

この作品をシェア

pagetop