そばにいたい。
―――――ピピッ
はさんだまま、診察の準備を進める医者の手をぼーっと見ていると体温計の音が静かな病室に響いた。
"新しい母親"は看護師に促されて病室をでていった。
診察の準備が終わったのか、こちらを向いた医者。
「よし、玲菜ちゃん、体温計もらえる?」
差し出された綺麗な手に無言で体温計をのせた。
「どれどれ、うーん、37.8か~、しんどくない?」
「だい、じょうぶ、です」
実際、熱があることも気づかなかったくらいだ。
…もう、なれてしまった。