そばにいたい。





「そっか、じゃあ、次はもしもししよっか」


前あけてね~とにこにこしている医者にならって前をあける。

少しして、手で暖められた聴診器が胸に当てられた。



「大きく深呼吸しようか、…もう一回…、…うん、いいよ」



「…」

ごそごそと服を直し、もう一度若い男の顔を見た。


「うーん、ちょっとゼエゼエしてるから、点滴したいんだけど、いいかな?」


――――コクン


…点滴、ほんとは嫌だ。

痛いし、気持ち悪い。

でも、これ以上迷惑かれるわけにはいかないし、


―――――もう、捨てられたくない。
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